「アキラ」は、その本当の魅力が分かるには作品世界にどっぷりと入り込まなければならない見本のような作品だと思います。大ブームに遅れること数年、むさぼるように何度読んだかわからないくらいハマッた原作の完結よりも映画化が先だったため、少々駆け足的な作りに一度はがっかりしましたが、お正月のテレビ放送、ビデオで何回となく見直すたびに、この映画版に対する愛は深まるばかりです。
アニメ製作へのコンピューター導入がまだ少なかった80年代後半、画面の四隅まで職人芸のごとく描き込まれた情報量の多い絵作りには圧倒されました。今見てもやはり新しい発見があるし、アクションの面白さは原作にも決して負けません。何より嬉しいのは5.1チャンネル化による音の臨場感の強化。付属の!!特典ディスクには音楽を担当された山城さんも登場し詳しく解説されていますが、高価なオーディオ機材をそろえなくてもいい、ヘッドホンで大音量で聞いても、ビデオとの違いははっきり分かります。CD店をはしごしてやっと見つけた芸能山城組の「Symphonyc Suite AKIRA」(鳥肌モノ、サントラなどより断然オススメ)が宝物の自分にとって、これは本当に嬉しかった。
単なる作品ではなく、当時の自分の心情にぴったりと寄り添うようにあったアキラ世界は、何かとヘコみそうになる度に鼓舞してくれる強烈なロックのようなものでした。今でも、見ると何故か元気になります。個人的には「ブレードランナー」と同じくらい劇場の大画面で見るべきだった映画の一本。再上映がない哀しさを豪華なDVDが癒してくれました。
惜しむらくは、価格や仕様が完全にマニア向けのものである、という事です。鉄雄と金田のシンプルな友情物語。サイバーパンクアニメの金字塔。これだけ優れた作品なのだから、映画ディスクのみの廉価版も出してファンを増やして欲しかったところ。で、★!!四つです。