新書サイズの美少女ゲームノベル「パラダイムノベルス」でおなじみのパラダイムから出版された、AIRの画集である。単なるAIRゲーム内のCG画収録だけにとどまらず、ラフ画やラインアート・シャドウラインといった下絵や色指定の絵から、背景のラフ、初期イメージ画まで載ってる、かなり充実した一冊。しかも、主人公往人の妄想シーンやヒロインとの結ばれるシーンのCGやラフ・ラインアート・シャドウラインもきちんと抜かりなく掲載されているのは、パラダイムからの刊行ということもあってかなり良心的だ。メインヒロイン観鈴の場合は、他ヒロインとは別に二つの章に分けられてイラストが掲載されてるほどの力の入れぶりが感じられる。
ゲーム内CG設定以外には、キャラ表情集・背景カット集・描き下ろしカット集・ラフ&未使用カット集・シナリオチャート・スタッフボイスと続き、ボツになったものも含めるとAIRにはいかに大量の絵が使われていたのかと思わされる。その充実したイラストは、AIRらしくどれも神秘的で美しく、夏の宵の世界へこちら側も引き寄せられてしまうほどの威力には感涙にむせばずにはいられない。イラストのところどころに、作家の落書きイラスト&コメントがあり、どこか愛嬌があり笑えてくる。
ハードケースに収められ計224ページもあるずっしりとした重みが、AIRという作品の大きさを実感させてくれる。
鳥の歌・Farewell song・青空の歌詞が途中掲載されているのは嬉しい限りだ。歌詞だけでなく、AIRサントラCDのジャケット内にあるようなメロディー譜も載せてくれたらなおもよかったが、とにかく、誕生から11年経った今でも眺めてても飽きが来ず、むしろかえって深みに堕ちてしまうほどのこの一冊でAIRの神秘的な世界へいざなわせてくれる、記念すべき永久保存版画集として太鼓判を押そう。