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交渉人ポターは、犯人の思考に同化して突破口を創りだすという交渉技術のみ。その技術が、冷静にして凶悪、狡知にたけた犯人にどこまで通用するか。全てはポターの判断にゆだねられる。不測の事態に悪化する状況下ポタ-は主導権を回復するべく電話回線の向こうにいる犯人との交渉に全能を傾ける。
人質の少女たちを通して語られるろう者の世界。その奥行きと広がりの豊かさが、人質交渉のハ-ドさと交錯し、物語に豊かなコントラストを与えている。人質解放交渉という非日常を日常にするポタ-の哀感と実習生メラニ-の若さ。更にタフな悪党ル-・ハンディ-の強烈な悪の魅力が物語全体を引き締めている。
ポタ-によれば、FBI流の危機管理とは、あらゆる可能性を想定し被害を最小限度に抑えるに必要な犠牲なら躊躇しない、およそ感情や情緒の介在する余地ないものだという。その前提からブラフを連発するポタ-。人質の運命は盤面上で翻弄されるピンボールのように、得点を更新し、掛け金を釣り上げながら、OUT穴に向かって転がり落ちていく。
中年男と若い女性の恋愛感情なぞの適度な通俗性で読者サ-ビスもするが、決して下品に堕すことがなく、善きことへの信頼をストレ-トに表明するディーヴァーの力強く前向きな作風は、根っから下品で根っから性悪説な私のようなひねくれ者には、とても染みる。
LincolnRhymeこそいないけれど、そのおどろおどろしさ
は冒頭の人質拉致から惜しみなく発揮されていて、 そこから始まる悪玉と善玉の頭脳戦(これが相変わらず 悪玉がたいしたやつで)、みなぎる緊張感は、きれる どころかびっくりするような展開があったり… おもしろいのは、タイトルの由来(これは読まないと だめ)。Very Clever!
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