これはもはや、ジャンル=フーバーオーバーとしか言いようが無い。唯一無二の存在だ。
毎回唸らされる巧みな楽曲アレンジはくるくると表情を変えながら展開し、ポップとロックの間を縦横無尽に行ったり来たり。
中間地点にstill&loudな「ポンチ画」で緩急をつけた11曲37分。ダレることなくブレることなく、あっという間に過ぎ去ってしまう。
おなじみ、ボーカル岩沢正美の早口フレーズも随所でキマる。「構造的欠陥」の収まりもいい。
フーバー初心者にも断然おすすめのアルバム。もちろん全作おすすめなんだけど。
歌詞はストレートだったり捻くれてたり、コミカルとメランコリーの裏表が織り成すセンチメンタルな世界。
シニカルでいて、リアル。分からないようでいて、分かる。
分かる気がするのは、それらが“誰かを想う”という普遍の、プリミティブな感情だからだろう。だからダイレクトに届いてくるのだ。
不意に、忘れてた記憶が呼び戻されるような、切なさとやりきれなさ、やるせなさに満たされるような、そんな瞬間がいっぱいにつまっている。頭の中をグルグルとまわって離れない。
個人的におすすめは、「君方向へ」路線の「蝶蝶」、激ポップにねじれまくった「まみむめも」、「外出禁止」に「ペーパーローヒール」を足してキュートになったような「あんみつ」。
「まみむめも」の“右脳の後ろがくすぐったいくらい”という詞は、“誰かのことがいつも気になってしまう”というあやふやな感覚を的確に形容してみせた秀逸なフレーズだと思う。
世の中には、売れてるとか、名曲とか、そんなの関係なく良い曲がたくさん存在している。
気になった人は聴いてほしい。恋してる人にも聴いてほしい。
フーバーオーバー3枚目のフルアルバム『A型センチメンタル』。
君なんか、君なんか、最高だ。