価値ある本です。表紙のイラストが専門的でないし(?)知りたいサイエンスシリーズなので素人でも理解できるだろう、そして何が96%なのかと思い読んでみたが非常に内容は濃い。KT絶滅は隕石が原因、きっかけというのは最早仮説ではなくなったようだが、それだけで何故絶滅に至ったのか、それで地球と生物に何が生じたのかについては実はまだ判っていないということが理解できる。火山活動も無関係とは言えない、海洋循環の停止、地球規模の火災など、硫酸雨、巨大隕石の衝突の塵だけで数百万年の気候変化が説明できるのか等の疑問について化学的な研究成果と仮説を検証する過程(時として非常に専門的で難解)は興味深い。同位元素の測定方法や影響度の推定、測定方法、計算式などの説明も詳細でよい勉強になる。同時に96%はKT絶滅よりもっと大きなPT絶滅の推定値であること、その仮説も丁寧に解説している。恐竜絶滅の派手さに目を奪われてはいけなのだなと反省。もっとスパンを拡げて、太陽系の銀河系における周期的運動、超新星爆発などの可能性にも触れている。ここまでくると一体何百万年の間にどれくらいの種が消えるのが絶滅イベントなのかという定義自体が判らなくなってくるが、最後に人類起因の他生物絶滅に言及がある。これも時間軸は判らぬが、考えさせられる。