才気溢れる新鋭が短編でオリジナルなヴィジョンを提示して耳目を集め、後に自身で長編化するパターン。L・ベッソンの「最後の戦い」(古っ!)とかもそうだっけ。おまけにT・バートンの肝入り、とくれば その手のファンには十分すぎるフックかな。
あちこちで指摘されているように、設定や世界観・ストーリーに関しては最初から三番煎じ以下といって良い出来だし、間違っても先日完結した某荒川弘作品のような、ラストへ向かって轟音をたててドラマが収斂してゆくベクトル感覚など期待してはイケナイ。短編時に放り出された謎も疑問も、まんま残る。いや本当に見事なくらい(笑)。おそらく其処は最初っから解決する気がないのだろうし、私も気にしない事にした。そんな揚げ足取りで、この豊かで奇妙な手触りのニューフェイスを台無しにしたくはない。
それに実際オリジナルのアカデミー受賞短編の時点で、既にこの作品の魅力はほぼ100%開花しているのだ。とにかく主役の人形たちのキャラクター(デザイン・質感・芝居のアニメーション精度その他ひっくるめて、敢て)が素晴らしいし、長編になってこの点はむしろ更に向上している。短編の長尺化では水増し感が大敵だが、彼らが画面上で動いて、いやぼんやりと佇んでいるだけで世界が成立してしまうといって良い程だ。
レイアウトやカメラワーク等も考え抜かれていて、高速アクションで視点が迷う事も無い。実はAクラス作品でもこの辺のイイ加減な映画って結構あるものだが、そのアクションのアイディア自体もかなりのレベルだったから、私は80分を最後まで楽しめた。彼らと肌の合わない方以外は、ぜひ肩まで浸かってよ〜く温まっていって欲しいものだ。
…まぁ確かに意味は在るに越したことはないけど無いものねだりは止めよう(笑)。ブルーレイの高画質の恩恵を堪能できるソフトです。