このドキュメンタリーに収められたのは、駆け出しのカメラマンの兄弟。二人でドキュメンタリーを作ろうと、知り合いが働いているNYのある消防署で新入りの消防士・トニーの日常を追い始めます。運がいいのか悪いのか、2週間、3週間とたっても火事は起きません。これではいつまでたっても一人前になれないと焦るトニー。そしてこれではドキュメンタリーにならないと焦るカメラマン。
そしてあの9月11日がやってきます。偶然にも二手に分かれてしまった兄弟が、別の視点-貿易センターの内と外からカメラを回します。混乱を極めるロビー、逃げる人間を襲う雨のように降ってくる自殺者たち(映像ではなく、音として残っています)、録画しているのを忘れかけているカメラマンの手元で降り注ぐ灰や瓦礫、書類の燃えカスを映し続けるカメラ。
このドキュメンタリーの素晴らしさは、脚色の無さにあると思います。下手な演出、BGM、泣かせる演出は一切無しで、「本当に何が起きたのか」をカメラがとらえています。ただ映せばいいわけではない。何がおきたのかを正確に伝えられれば、グロテスクな映像を見せたり見世物のようなことはしなくてもいいのだと痛感しました。
このドキュメンタリーは、歴史の目撃者です。