本書は監視社会の代表的な論者である著者が、9・11以後の監視について、最新の政治的動向を踏まえ、理論的に解説した書である。著者が述べるように、ここ最近のセキュリティへの希求は、9・11以後のテロリズムの増大によって初めて登場したわけでなく、むしろ今までの福祉国家の解体と監視化への流れが、9・11を通じて顕在化してきたのである。その意味で本書は、前著の『監視社会』で論じられた理論社会的モチーフが、補強される形で継承されたものと位置づけられるだろう。日本社会を論じたエピローグもあり、日本の監視に関心のある方にもおすすめできる。
サブタイトルにあるように監視社会において「自由」をどう考えるかは焦眉の課題といえようが、著者の回答は明確には出されていないように思う。著者の言うとおり、監視は「管理」という負の部分のみならず、「配慮」という機能を備えた、両義的なものである。だとするとそこから考えられる自由とは、どのようなものなのか。それは本書を通じてわれわれ読者に突きつけられている。