とにかく付けるも付けたりのこのタイトルが白眉。このアルバムのムードをこれ程的確に言い表したタイトルも無いんじゃないか、と思えてくる。このアルバムの1曲目を再生するとどうしても思い出されてしまうのは日比谷野外音楽堂(このアルバムのアナログ盤のジャケットにもなっていた)でのライヴの事。まだ少し暑さの残る晩夏とも初秋とも呼べる様な、そんな季節の狭間で行われたフィッシュマンズの“野音”での空気感が一瞬にして甦る。あの音や波動が周りの風景を飲み込むような、あの感じ。この感覚は他のアルバムには無い独特なものだ。
またライヴ音源を元にRemixした作品、というコンセプトでは「Oh! Mountain」が過去にあったけれど、両作に共通するのはあくまで「その時点での」フィッシュマンズのドキュメンタリーの様な、現状報告的な1枚という意味合いが感じられるという事。特にこの『8月の現状』前後のライヴにおいては過去のレパートリーもアレンジが刷新されて全く新しい世界観を作り出していた事もあり、それを「記録」として鑑賞に耐え得るクオリティ(実はこれ重要なポイント)で残した、そんな意匠を強く感じる。特にこのアルバムでの“SUNNY BLUE”、“ずっと前”、“JUST THING”にその傾向は顕著。どれもアレンジが変わると別のアングルからその詞世界に光を照らしている様な新味があるが、“JUST THING”は元々詞が際立っていた楽曲で、ようやくここで本来のあるべき姿を現したかの様な思いがしたものだ。ライヴでは歌い出すまでどの曲だか分からない、なんて事は結構多かったのだが、その瞬間のハッとする様な感覚も思い出される、そんな1枚だったりもする。