解説は泉麻人氏の「広告に描かれた高度成長感」が2ページあるだけで、後は基本的に1960年代の広告(ポスター)を掲載したムックです。
化粧品、ファッション、食品・飲料・嗜好品、インテリア・生活用品・薬品、電化製品・カメラ、自動車・オートバイ、子ども向け広告、その他の広告、1色刷り広告のジャンルに分けて紹介してありました。
巻末に掲載広告作品一覧と60sクロニクル、広告主一覧、出向雑誌一覧が載っています。
1960年代は日本人の生活水準が大きく変化したといえる年代でしょう。池田隼人首相の所得倍増計画を持ちだすまでもなく、戦後の復興期を経て、もはや戦後ではない、と言われた時代の次には、高度成長と言われる時代を迎えました。
本書掲載の広告は、そのような日本のライフスタイルの変化を、広告を通して感じられる企画だと思っています。
172頁以下の車の項目にあるように、トヨタ・カローラ1100は43.2万円、ニッサン・サニーは43万円でしたが、庶民の日常生活ではマイカーはまだまだ高根の花でした。
ナショナル「人工頭脳テレビ(ネーミングが凄いですが)」は足つきでデラックス19型で69500円、月賦定価(当時はそう言っていました)73000円で、応接室は勿論、一段高い床の間のような場所にも飾ってある広告が今見れば不思議です。
ファッションや髪型、当時の俳優やタレントも見ることができます。その時代を生きていない人には関心がないかもしれませんが、アイビーに始まり、ミニスカートの全盛時代を迎えた当時は、ファッションも日常のものとなりつつある頃でした。広告も当然その時代の最先端を表しています。56ページの見開きの「VAN」は我々にとって憧れのブランドでした。
本書掲載の化粧品の広告は資生堂関連のものが多かったですが、それだけしっかりと保存されていたのでしょう。斬新さと美的感覚は他の会社を抜きんでていたと思っています。
懐かしさだけでなく、当時を知らない若い方には新鮮な驚きが感じられるムックではないでしょうか。