本作は何と言っても「オールウェイズ 三丁目の夕日」シリーズ&「キサラギ」の古沢良太のホンに尽きるだろう。元は銀行主催の投函企画をまとめあげたものだが、まだ40前なのに昭和世代のことが本当に良く分かっている(笑)。いまは60歳といっても元気ハツラツ状態の方が多く、再雇用も含めた定年制度の再検討も行われている。大手建設会社の専務に上り詰めた孝平、勤務医で世のイメージとは違う静夫、魚屋をきりもりする正彦、この男性3人は特にそうだ。対して女性側は、キャリアウーマンとして現役の麗子のほかは、ちひろも光江も日々を過ごすうちに30年が過ぎてしまったという設定だ。元気とはいえ、60歳ともなればそろそろ総決算の時期であり、6人が6人とも悩み、苦しみ、判断する。こんなホンをなぜ古沢は書けるのだろうか(笑)。現在の日本映画を支える若手の石田卓也や星野真理、内田朝陽あたりは今回完全な脇に回り、それでも重要な役割を任されている。中でも原田美枝子の芝居は完璧かつ絶品だった。ラストシーンの選択は、観る人によって感想が違うだろうが、自分は映画の締め方のほうが好きだった。まあ相手も石黒賢だしね(笑)。富良野ロケで撮ったラベンダー畑の風景も素晴らしかったが、中村雅俊演じる孝平が、なぜドンピシャであの場所に行けたのかは疑問だ。これも「映画的」といえばそうだが、時間まで合わせるなんて尾行していたに違いない(笑)。特典映像はメイキングと舞台挨拶が収録されている。出来れば深川組ではなく、廣木組か佐々部組あたりで観たかったところだ。星は3つです。