様々なジャンルのマジックを「理解」するのに、素晴らしい内容の本です。
エピソードや引用も、著者の長年のキャリアを十二分に感じさ、マジック教則本としては近来に無い内容とスタイルです。
一点敢えて減じさせて頂いたのは、「60歳からの・・」というタイトルに対しての抵抗感です。
何故60歳? 記憶力や器用さへの衰えを越えて演じられるマジックの解説を狙ったのか、年齢からくる人間味や演出の妙で観客を惹きつけるマジックの解説を狙ったのか、よくわかりませんでした。
ネタの仕込みにそれなりに工作や材料の購入が必要なものが少なく無く、この点から見ると、お金と時間のある方々を対象にしたというのもタイトル付けの理由かもしれません。
マジック教本として、買って損は無い内容です。しかし、ここで紹介されている作品を演じようとなると、安易な入門書とは言えないかと思います。
即演じられるマジックを紹介するよりも、この本でマジックへの関心を持ち、自分も演じてみよう、という動機を芽生えさせ、リタイア後の趣味の一つとしてマジックを始める人が増える、というのが著者の一番の願いではないかと感じました。