「スター戦略構築法」と呼ばれるこの独自の手法は、「商品」「顧客」「競合」「収益シミュレーション」「タイミング」「メッセージ」の6つの要素からなり、本書ではそれを順番に解説していく。ポーターの競争戦略論や商品ライフサイクルのS字曲線、MBAで教える顧客ターゲティングなどに触れながら、これらの理論の問題点、あるいは足りない部分について、具体例を挙げながら検証している点は大変興味深い。たとえば、商品ライフサイクルについて書かれた部分では、どんなに優秀な経営者でも、商品のライフサイクルを読み違えれば成功できない、と断言したうえで、「野性的な勘を持つ経営者」が本能的に知っている参入・撤退の具体的な基準を示している。ほかにも、日本を代表する億万長者、斎藤一人のネーミングセンスに言及するなど、これまでは経営者の才覚による部分であるとして、議論の対象とならなかった事柄にも焦点を当てている。
紹介されている事例は、著者の仕事がら、中小企業内部での体験談が多い。ビジネス誌を眺めていてもなかなかお目にかかれないさまざまな業種・企業のケースが楽しめるのも、本書の大きな魅力であろう。(土井英司)
登録情報
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本書は、「多忙な企業家が事業戦略、ビジネスモデルを如何に構築するか?」を記した書であり、「戦略とは何か?」を説いたものではないし、アカデミックではない。実際に使うための視点やプロセスを得る書であり、披瀝するための知識を得る書ではないのだ。
特徴的なポイントは、3つ。
商品を起点に事業戦略を考える。一般に、市場環境や競争構造を分析して云々~商品・事業を選択、というプロセスとは逆の発想。目の前にあるものからスタートするから、誰でも取っ掛かり易く、定着し易い。
演繹的ではなく帰納的。「戦略とはこうあるべき」からスタートする理論書とは異なり、目の前にある事実を戦略のコンテクストに落とし込んでいくというスタンスを取っている。実際に、眼前の商売を改善する必要に迫られている人々には使い易い。
汎用性・普遍性がある。決して目先の実務だけに陥ることなく、検証された理論を背景に裏打ちされているから、持続的に使っていけるプロセスだと思う。
ピラミッド型の出来上がった企業には受け容れ難いかも知れないが(それ自体が問題なのかも知れない)、営業の現場や中小企業には受け容れ易く、かつ、すぐにでも使えるのではないだろうか。
安易に答えを求めるために飛びつくのではなく、むしろ普段から読書家である人や、MBAホルダーなどにこそ、「実践に帰れ!」という意味でお勧めしたい本である。
そういった人たちには効き目バツグンであるはずである。
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