会社は“社会の公器”と俗に称される。
大きければよりその影響力はあり、社会に対しどのように貢献せねばならないかが重要になってくるが、昨今のアメリカングローバリズムで、株式公開を行っている大会社では、株主>経営陣のように利益の多くが流れ、従業員や社会貢献は蔑ろにされている。
小さい会社でも、働いてもいない社長の家族を経営陣扱いして、それらが利益の多くを得ている例が多い。
そんな会社が一般的であるので、中村ブレイスのような地域の発展に利益をつぎ込む会社を見れば、救われるような思いがするのは、私だけではなかろう。
中村ブレイスは、従業員約70名の株式公開もしていない小さな会社ながら、年商は10億を上げ、その利益で会社のある島根県大森の古い町並みを保存(市の補助は一切受けていない)、古い資料を集めて博物館のようにし、石見銀山の世界遺産登録を達成させた。
この様に素晴らしい会社についての書なのだが、その事業としての一面よりも、世界遺産登録に中村がいかに尽力したかについて紙幅が割かれており、その部分で少しもの足りず減点した。
同社は、2008年の第6回渋沢栄一賞をはじめ、数々の賞を受賞している。
それを手放しで賞賛するが、それは一方、銭儲けだけに精を出す企業が殆どであることの裏返しでもあるということも忘れてはならない。