久しぶりに加藤諦三氏の本を読んだが,加藤節健在にほっとした思いだった。
タイトルから想像されるようなホンワカした内容ではなく,相変わらず厳しく,徹底した自己の客観視による「神経症的自我」の克服を訴えている。
第四部では定年前後で騙される人に対して,執拗なほど「騙されるな」と繰り返している。定年前までは役割アイデンティティで生きてきたが本質的に自分に自信のない人が,役割アイデンティティを失うと,ずるい人間がその自信のなさにつけ込んでくる,という事であろう。「騙されるな」と氏は力を込めて叫び続ける。
思いつきのような生き方本とは異なり,このような考え方は実際生きてゆく上で重要であろうし,勇気づけられ,また実用的でもある。
またか,と思わないでもないが,70歳に至るまで一貫して自分の説を貫いている著者は立派である。