画質に関しては旧盤(1998ハピネット-ASIN:B00005G0LR) と仕様の違いなどもあり単純に比較し難いのですが、スクイーズ、1.66:1ということを加味しても今回の盤はデジタル・リマスターを謳っている割にはあまり高画質とは思えませんでした。フィルム傷やコマ跳びなども旧盤にくらべて多いです。適正な収録時間という点では両者とも正常なのでその点では問題ありません。
新盤の目玉は“コレクターズ・エディション”と称せられるように豊富な収録時間の特典映像にあるといえましょう。監督のアニエス・ヴァルダ、主演のクレオ役のコリンヌ・マルシャンらが撮影当時のロケ地を訪れて当時のエピソードを交えて作品への想いを語るドキュメンタリーは作品に思い入れのある方にとっては必見と言えます。68歳になったコリンヌ・マルシャンは容色こそ衰えたものの年輪を重ねて品の良いお婆さんになっていて往時の美しさを想い起こさせます。「クレオ」完成後1度も会っていなかったというアントワーヌ・ブルセイユとの44年ぶりの再会も感動的です。またヴァルダが即興中心のヌーヴェルヴァーグ的映画つくりではなく、大変綿密に撮影プランを立て、論理的な考えを持って作品を創り上げて言ったことが彼女やスタッフの証言などから浮かび上がって来ます。これらのエピソードを踏まえてまた映画を見直してみるとまた違った楽しみ方が出来るかもしれません。他にも「クレオ」が大好きでリメイク権を取得して一時は自らが主演してリメイク作品の製作を計画していたというマドンナがヴァルダと一緒にトーク・ショウに出演した時の短いフッテージや、ヴァルダ監督による3本のショートフィルム(2003年製作のものも)、ジャン=リュック・ゴダールとアンナ・カリーナが出演している劇中劇についてのショートドキュメンタリーなども収録されています。