著者はあとがきでこの物語の設定について触れている。
「十代の中で一番たのしかった年はいくつだったろうか。高校時代は本ばかり読んで暗かった。やはり中学生がいいだろう。それも受験勉強が厳しい三年生でも、まだ中学に慣れていない一年生でもない。やはり底抜けにたのしかったのは、中学二年生十四歳のときだ。」
中学二年生といえば、男子にとってはまさしく子供から大人へ変化する時期ではないだろうか。
著者が言うように、中学生活でも一番安定しており、身体的変化、精神的変化に対して戸惑い、悩み、そして学んでいく時期だったと思う。
その頃の友達というのは、同じ感覚を持っているので固い絆で結ばれているだろう。
また、大人のように打算的に交友関係を持とうとしないので、頭のいい子も悪い子も、金持ちの子も貧乏人の子も、同世代という絆だけで結ばれる。
これは、その後の人生ではなかなか出来ないことであるし、中学二年生がそんな友達を持つ最後のときではないだろうか。
本書のストーリーはそんなことは現実離れしているだろう、という内容かもしれない。
しかし、その出来事に接した時の少年の気持ちには共感させられるものがあった。
今、中年になってしまった我々を、中学時代にトリップさせ、新鮮な気持ちを思い起こさせる物語である。