前著『40歳から何をどう勉強するか』が、総じて中高年のIQの維持向上を中心に、生き方、人間関係までも包含して、私には結構インパクトがあったのに比べて、本書は「IQだけ向上させるのではなく、EQ(心の知能指数)も向上させないと充実した人生を生きられない」と言っています。いわく『「知」で自分を高め、「情」で人生に克つ』と始まっており、全編のテーマとなっています。著者の実体験にページが多くさかれており、「言うは易し、行うは難し」を実感したと言っています。
ただ、前作の補足という感じがあり、学説、臨床実験、心理学などの記述に多くを割いていますが、「知識」ほど合理で割り切れない「情知」というテーマで学説や経験を交えて書かれていますので、前著に比較すると「合理的な説明」が難しい分野なためか、「読んで納得する度合い」は前作ほどは得られない気がします。ただし、紹介されている「コフートの自己愛説」という学説は私は初めて知り大変興味を持ちました。
総じて、どっちか一方でなく、両方の著作をあわせて1作になりますから、読むなら両方の作品を続けて読むのがいいと思います(私がそうです)。『精神科学など科学的根拠、説得力のある処世訓』としては、文章もわかりやすく、やはりタイトルどおり「中高年にお薦め」です。教育評論家の中山氏との「けんか」で、著者がつい「口走ってしまった」傲慢さ、は、著者の本音?(やっぱ高学歴な人は学歴主義か?)を垣間見てしまったのは、ちょっとがっかりですが、それでも本書から得られる処世訓を貶めることはありません。