60年代後半の学生運動、いわゆる安保沖縄闘争が下火に向かう中で発生した、日石・土田・ピース缶「冤罪」事件が作られていく構造と、日石・土田・ピース缶爆破事件の実行部隊のの周辺を知る者の告白と警察・検察への告発の一冊です。
この事件の真犯人の結論を言えば、戦旗・共産同の非公然部隊による実行であり、この「戦旗・共産同」説は、警察・検察も「冤罪」裁判途中で知り得たことであり、いわゆる「極左業界」の深部では知り得たことであったとの回想である。
著者の日石・土田・ピース事件の時代背景と全体構造の理解には、事件の背景に「戦旗・共産同」の組織問題、中心人物の日向・荒氏の突出した組織能力と一方での「小心」「猜疑心」が横たわっているとの見立てである。この荒氏関係に多くの叙述が割かれている。
事件から40年の歳月を経て、関係者からも鬼籍に入る者もあり、ここで書き残し公開しなければ真相が社会に明らかにそれることもとも無くなる中、敢えて言えば余り売上も期待できない時代に、出版されたと言える。
ジャーナリストの筆であれば、当時の捜査関係者への取材が中心になり裏付けに力を入れられるのであろうが、真犯人側からの証言であるため今だ秘匿せねばならないことがある模様だ。更に言えば秘匿性の高い公安・捜査関係者は、冤罪に大なり小なり拘った形であり、真相を語る者は現れ難い。
3億円事件、グリコ森永事件等、関係者が存命な内に書き残すことが期待される「事件」は、まだまだ存在する。