このテキストはいわば“超入門編”です。エスペラントについての解説から始まってコンパクトにまとめられた文法、会話例、物語のエスペラント訳、そして巻末に単語集と最後に簡単な問題という構成です。
分野別にまとめられている後ろの単語集は見やすくて、かなり良いと思いました。(この部分はかなり活用しています;)が、本格的にエスペラントの学習を一から始めようという人にとっては、ハッキリ言ってあまりお勧めできません。簡潔にまとまり過ぎていて、ゼロから学ぶ人間には情報量が不足なのです。体系的な教科書にはなっていませんから、個々の文法事項を詳しく学ぶことが出来ません。
本格的な入門書というより、とりあえず、エスペラントとは如何なる言葉なのか‥と興味のある人に、その言葉の世界を紹介するための本と考えた方が良いでしょう。エスペラントの要である、16箇条の文法をざっと見渡すことに主眼が置かれているテキストだと思います。
ただ、このテキストで特筆すべきなのは、世界名作文学のさわりの部分の朗読が収められていることです。入門テキストでは通常、ちょっとした会話が収録されている程度ですので、物語の朗読があるのは、大変に有難いことです。後々、朗読の練習になるからです。このテキストで音声を担当しているポーランド人女性は白水社発行の「ニューエクスプレス」でも吹き込みをされていますが、エスペラントがたいそう達者で、朗読部分も感情を込めた素晴しい仕上がりになっていて、とてもお手本になります。
一つ気になったところを上げます。英語を媒体にして覚えられるような謳い文句になっていますが、その点はちょっと注意が必要です。エスペラントと同時に英語も押さえようとした私には、大いに当てが外れました。
エスペラントは英語と同じ欧語をもとに作られているので似ている部分があるとはいえ、もちろん別の言葉ですから、文法が英語とまったく同じわけではありません。
でもこのテキストに出てくる英文は、エスペラントをそのまま英語に直訳したような感じを受けました。
単語や例文の英語が、自然な英語とは言い難いものが多かったからです。この単語を言う場合、普通これでないでしょうとか、この言い回しはちょっと変‥と感じる箇所が、たびたび出てきました。
将来改訂版が出されるなら、英文の再チェックが必要なのではないでしょうか?