遂にというか、とうとうというか、ありそうで無かった、今をトキメク伊坂氏のエッセイ集の登場である。エッセイというのは物語とは違い、創造したものではなく実際に見聞きし、体験した事への想いを綴るものであり、そこに作者の本性や人間性が垣間見えるところが最高に魅力的だと思うのだ。この本はそんな井坂氏の「人となり」というか、考え方、感じ方などに触れる事ができ、さすがに抱腹絶倒という内容ではないが、なぜか次、また次へと読み進めたくなる魅力に溢れている。何より、このエッセイには一つ一つ本文に対しての「脚注」が全てに付けられており、丁寧な説明とその時の感情や回想が添えられていて、氏の「なるべく正確に伝えたい」という気持ちが込められており、エッセイと言えども、いや、エッセイだからこそ自分の想いを読者と共感したい・・・という情熱が伝わってくるし、内容も作者独特の観察眼や着眼点には「さすが」と思わせるし、タイトル一つ一つがとてもコンパクトに書かれているので、ちょっとした空き時間にちょこっとずつ読むのもよし、気合いを入れて一気に読むのもよしだ。当代随一の売れっ子作家の初エッセイ集はやはり「読ませます」。