ご覧の通り、変な姿の戦車である。
全体のシルエットは第一次大戦の菱形戦車に砲塔を載せたよう。
車体右側面の搭乗ドア、左側面のラジエターグリル、
極端に低い位置の使いにくそうな榴弾砲など、
1940年代に実戦に参加した戦車とは、にわかには信じがたいほどだ。
しかし、第二次大戦で主役を務めた洗練された車両にはない、異形の味わいがある。
タミヤ製のこのキットを使えば、高い部品精度と工夫された分割で、
この変な戦車の姿をたちまち再現することができる。
特にはめ込み式履帯(キャタピラ)の組みやすさは感動するほどだ。
履帯を数えて並べて組み終えるまで20分程度。全体も一日か二日で完成するだろう。
バリエーション展開を意識してか、
いくつか直径1mmの穴あけが必要な箇所があるので、ピンバイスとドリルがあった方がよい。
また、車長用展望塔と主砲を見栄えよく仕上げるには継ぎ目消しの技術が必要だ。
しかし、それ以外は特殊な工具も技術も必要なく、
ニッパーとカッターと接着剤と塗料さえあればひとまず誰でも完成させられる
好キットである。
外見上の主な省略箇所は、榴弾砲と展望塔の吊り下げフック、
一体成型された車体上面ハッチの取っ手、前照灯カバー裏のネジ、
車体側面装甲上面のリベットなど。
また極端に組みやすい履帯は、残念ながら縁が少し厚い。
箱絵を参考にディティールアップしてもいいが、
そのまま組んでも気になるほどではないだろう。
結論として、タミヤのミリタリー・ミニチュアとしては少し高めの価格設定だが、
アイテムに興味があるなら買って損はない。
ちょっと変わった模型を作ってみたいと思っている方は、このキットの、
部品同士が吸い付くような素晴らしい感触をぜひ味わってみて欲しい。