本書は、「35歳までに天職を探す「転職」の教科書―理想の仕事を手に入れ る6つのルール」というタイトルだ。
ですが、天職とはなにか、という根本的な定義や、天職を選ぶための判断基準についての説明(あくまでも企業側が求める人物像しか提示されていない)がないため、他の評価の低いレビューにもある通り、本書は、「天職と転職」に関する本ではなく、単なる「転職」に関する本となっている。
とは言え、採用する企業がかなりの金・時間・労力を使うこと、そして、採用できなければ人材不足により得られたはずの利益を失うという機会損失の危険にさらされていることなど、企業側の事情に関する説明は勉強になる部分も多々在る。
他にも、転職で内定を得て退職する際に、昇進をえさに慰留されたときの断り方や、断るべき合理的な理由が三つあるなど、説明が簡潔で、しかも転職者が転職で最も心配になるようなことが書かれている。
企業研究・自己分析の方法、履歴書の書き方、面接での留意点、転職市場の状況と、網羅的になっていて、内容は、ほぼ他の転職本に書かれていることと一致する。私見でも合理的だと言える内容だ。
総じて、「天職本」としてではなく、「転職本」としてまとまりが良く、他の転職本と併用して情報の裏取りをするにはいい本だろう。本書の売りを言うなら、主張の根拠が三つに整理されていて分かりやすい点と、現実的でも使える簡潔で具体的なノウハウを提示している点ではないだろうか。