最近の日本の結婚事情を「女性の生き方の問題」としてのみ捉えず、男性側にもあえて焦点を当てたことは評価できます。ただし見方があまりに一面的で画一的であるため(要するに結婚して家庭を築くことだけがまっとうな生き方で、幸せへの道、ということ)、理解があからさまに偏っていることは否定できません。他の方々も色々と指摘されていますが、目についた問題点を挙げるだけでも、
・拠り所とした価値観が古すぎる―未婚化は不幸への道、という断定はあまりに根拠に乏しすぎます。「伝統的な性役割に囚われた男性」という見方も怪しい。「男性は結婚によって失うものは少ない、ひとえにプラス」も今は昔で、特に妻が専業主婦になった場合の「失うものの多さ」は当然相当な考慮が払われるべきです。
・「結婚しなくてもいい」という考えの人たちをまるで想定していない―知ってか知らずかこの選択肢を設けていない欠陥アンケートを用いているからこそ、絶対的独身主義者以外の大多数が強く結婚を望んでいる、という虚像が生まれてしまいます(これは日本の結婚事情についての他の多くの考察にも言えること)。「結婚しなくてもいい」「結婚は所詮人生の選択科目にすぎない」という人たちには本書の提言も脅しもせせら笑われるだけです。
・結婚をあたかも「目的」としたような論調―結婚後の生活設計についてほとんど問題にされていません。今時「家庭的な女性」を求めるのは確かに問題だとしても、逆に専業主婦にならないことを要求するのは男性側としても真っ当な主張かもしれません。それともまさかすべて女性の要望に合わせろというつもりでしょうか。
こうしてみると、旧来の価値観をもった人たちが昨今の非婚化事情をどう見ているかを知ることができる、ということが、本書のせいぜいの意義だと思えてくるぐらいです。