ウェットンはソロアルバムでも3部作を完成させているが、本作もアイコンとしての3部作の完結編なのだという。ASIAとしての活動も進めながらの旺盛な創作活動には脱帽。それだけダウンズとの相性が良いのだろう。
さて中身だが、アイコン・プロジェクトの特徴を完備しており、元ELOのヒュー・マクドウェルのチェロと、女性ヴォーカリスト(今回はモストリー・オータムのアン・マリー・ヘルダー)の客演あり。ただし、ギターとドラムが変わっており、特にドラムは時折手数の多いオカズを入れたりしているし、ギター(旧友のデイブ・キルミンスター)もブライアン・メイ風の甘い音からワイルドなサウンドまで音色を多彩に使い分け、ASIAにあってアイコンに無い「サウンドの記名性」を出そうと努力しているのがわかる。これは高評価。
また、自身が心臓疾患で生死を彷徨ったことが影響しているのか、歌詞に「死」や「人生(の終わり)」といったモチーフが頻出する。思いのほか、メッセージ性があるアルバムである。
ただし、楽曲の出来としては、個人的にはTRK2が大好きだが、メロディに「どこか聴いた」感がありすぎ、もはや芸風が定着しすぎて新機軸は見出せない。また、メロディ自体が傑出したメインの曲というのが見えないような気もする。
いずれにしても、ウェットンが今後、どのような音楽キャリアを続けていくのかを楽しみにしながら、しばらくは本作を楽しもうと思う。