自己啓発系の本は多く出版されていますが、本書はその中でも格段に優れたものであると思います。この手の本は単に精神論的な内容で終わってしまうか、逆に俗っぽい実践論のみで終わってしまうかに偏りやすいのですが、本書は具体的な実践のすすめを基調としながらも、その根拠として豊富なエピソードや引用を用いて読者の魂に訴えかける、深みのあるレトリックで叙述がなされています。
邦訳の「三週間〜」は原著とは違いますが、おそらく読者が自らの人生をコントロールするために重要な意志の力を発揮するために、ある程度の継続こそが大切であるということを伝えたかったのでしょう。
本書には、たとえば「睡眠時間を削るべき」という項目が、エジソンのエピソードをまじえながら書かれています。おそらくは多くの自己啓発書であれば逆の指針を提示するのではないでしょうか。しかし著者は、具体的な話をもとに、長い睡眠はしばしば逃避として用いられているのではないかということを述べます。
この一例からみても、本書が読者に、安易な勇気付けによって甘い夢を見させるだけではないということがわかるでしょう。本書は、意志によってみずからの人生を支配すること、他者や古典とのかかわりのなかで自らの人生を豊かにすることを説きます。時に厳しい要求も惜しみません。
真摯に読むのなら、読者はきっと変わることができるでしょう。それだけの力を持った本だと思います。多くの人にお勧めしたいです。