期待していたのは、高度成長期的な従来の日本の企業体質に馴染めず、新しい道を模索することになった若者たちのその後。本書のタイトルもズバリそのもの。しかし、著者の主張が表に出過ぎて、肝心な若者たちのその後に焦点がまったく合っていない。取り上げられている若者たちは色々と多様なのだが、彼ら彼女ら自身の人間性やその後が、あまり見えてこない書き方なのが、非常に残念。著者の言いたいことの裏付けに使われただけ、という印象が、どうしても拭えない。著者の主張より、彼らが本当に何処へ行ったのか、という点により興味があった自分としては、星評価は、その点低くさせていただく。
しかしながら、一連の著者の主張には、基本的に共感する。著者は、安定を捨て自分の生き方を見付けろと、若者を単に煽っている訳ではない。つまるところ、日本が、奇跡的なレベルでの経済的発展をとげていた頃に出来上がり、その結果異常に豊かだった昭和的な年功序列というシステムや理不尽な日本企業体質は、斜陽の先進国としての典型的な問題を抱える「普通」の国へのスムーズな移行を妨げているだけでなく、格差社会という新しい問題を生みだしている。この著に取り上げられた人達のように、既存のシステムに疑問を感じてから抜け出して、満足な生活を得る人もいるが、非正規雇用者など、同じシステムによって搾取されている人々もいる。元凶は、日本の雇用形態である。
最大の弊害は、新卒男子を定年まで飼い殺しすることにこだわる、日本的な雇用システムであり、数十年後、膨大な数の団塊世代のお年寄と、若い頃に将来に向けた蓄えをすることを阻まれた、これまた膨大な数のロスジェネを支えるような国家的体力を維持するためには、年齢でなく、能力に見合った雇用を促進できるような抜本的改革が必要。そうすれば、若者の絶対数が減るなか、女性やフリーターの労働力を無駄にせず、移民に頼らずとも、将来の日本を支えられる可能性がある、ということ。
著者は、もっともな意見を主張しているのだけ。日本には大局的にことを捉えられる人間が現状を変えられるような社会的な位置に就かない(就けない)傾向があるらしいが、日本が手遅れにならぬよう、今後の著者の活動には、さらに期待したい。