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98 人中、81人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
かつてのヒッピー思想の生き残り(?),
By ハリマオ (東南アジア某国在住) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 3つの原理―セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす (単行本)
日本に長く在住する米人思想家が、現代社会の問題を、セックス・(社会の成熟度としての)年齢・社会階層(カースト)を三つの座標軸として俯瞰することにより未来を予測する、という本である。 日本の社会問題を考えるには面白い切り口とも言えるが、世界の行く末を予言するにはかなりムリがありそうな思想でもある。筆者の思想の根底には、全世界の人間の価値観が同じ方向に収束する、という思いがあり、そのため(ちょうど現代日本のような)物質的に有り余るほど充足した社会が、精神的な価値重視に向かって進むのはある程度は必然と言えないことはないかもしれない。 一方で、世界の大半は、物質的な充足などとははるかに程遠い社会経済状態にある地域がほとんどであり、そのような地域で紛争が耐えないのは、貧困、圧政、暴力が日常化しているためである。 筆者の言によると宗教対立も近未来に解決される、という論理が展開されているが、聖書世界に端を発するイスラエルとパレスチナの対立が今だに解決されない状況の説明にはまったくつながらない。 週4時間の労働が当り前になり、人々は贅沢を嫌い、幸福な精神世界を至高の価値とする社会に向かって進む、というのは、筆者自信も言うとおり、イスラエルの「キブツ」を理想像としている。 これはかつてのヒッピーが目指したコミューンの思想ではないか? だいたいが、理想郷の「キブツ」があるのはイスラエルの中でもほんの一部でしかなく、それをを運営する当のイスラエル人が、パレスチナの人々を如何に悲惨な状況においているかをこの目で見てきた私にとっては、筆者が予想する「精神的な理想郷」も「そこに住むエゴも嫉妬もない理想的な価値観の人々」など想像もできない。 また、将来世界において重要な位置を占める、とおっしゃる中東・西アフリカなどは、アブラだけでもっており、それが枯渇すれば見向きもされない不毛の地である、という冷徹な視点も欠かせないであろう。 世界は180度以上も異なる価値観の混在によって成立しており、各国・地域はそれぞれの成長・衰退のサイクルを複雑に繰り返しているのが実態であり、誰かの「理想」は、ある時には他人にとって「憎悪の的」になるのがこの世界である。 それは人類の歴史の中でまったく変化していない「原理」ではないだろうか。 最後に蛇足であるが、中国・韓国・日本を一括して「儒教的社会」としているくだりは、中国人を理解しているとは思えない。 日本の次は是非、中国に住み着いて本書の続編を書いていただきたいと願う次第である。
76 人中、62人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
極めて斬新な未来予測論,
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レビュー対象商品: 3つの原理―セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす (単行本)
この本で著者は、常人には想像すら出来ないほど斬新な理論で、古代史から未来までの予想をたった3つのスキーム(カースト、性、年齢)で説明しています。それによると、世界の経済圏は10〜30年の間に全て完全にブロック化し(つまり世界中でEUが形成される)、その中で東アジア版EUが世界の覇権を取る。 対して、北米・ロシア経済圏は、アジア、欧州に遅れを取るだろうと予想しています。 更にその後は、現在の経済を機軸にした世界の価値観が、精神性・宗教性へシフトし、それと共に、現在、途上国と呼ばれるアフリカや各国のネイティブ民族が、世界のオピニオンリーダーとなるだろう、といった、極めて大胆な予想を立てています。 勿論、人間が未来を正確に予測できるはずもありません。従って、著者の未来予測の結果そのものを評価する事は、あまり意味がないと思っています。 しかし彼の理論によって、我々読者の、時代に対する見方が広がる事は間違いありません。 その意味で、本書は間違いなく、★5つの名著だと思います。 私がこれからの時代動向を評価するとき、本書の理論がどこか頭の片隅に残り、何がしかの妥当な解釈を与えてくれる気がします。
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
世界を再構築、再解釈する理念的枠組みの挑戦,
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レビュー対象商品: 3つの原理―セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす (単行本)
正直、読み始めて、面食らいました。人類史の過去と未来を解釈する、ビッグピクチャは、過去にもたくさんありました。 おおよそ、西洋的世界観や民族的世界観、物質的経済的世界観など いろいろ切り口はありますが、本書の切り口、「性別(陰陽)」 「カースト(的時代の移行)」「年齢(その場所、その時代の人類は 何歳なのか)」という枠組みの解説は、なじみがないせいなのか、 とまどいます。 しかし、読み進めていくうちに、従来の世界史のイベントを、この2つの 世界観の中で、再構成、再編集しなおすという、著者の挑戦的な解釈は 大変魅力的に見えてきます。 本書の後半を占める、世界が向かう趨勢の未来予想には、正直、観点的 すぎて、辟易する場面も多いのですが、従来なかった斬新な観点の魅力に は引き込まれるものがあります。 ただし、近未来の終着点、資本主義的、労働カーストの次にくる時代が、 精神・宗教の時代であり、労働は神ではなく、宗教・精神的世界観が 中心にきて、世界はブロック化し、民族の個性が花開く・・的なユートピア 論にも聞こえる論旨は、ちょっと、どこまで信用していいのか、とまどい ます。 いづれにしても、知的好奇心を満足してくれる、大きな人類史の俯瞰という 意味では、この360ページ近く、びっちりと書かれた大著を読む、読書の 楽しみといういう意味では、おもしろい本です。
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