前作も前々作も、ついでに言ってしまえばその前の作品までも傑作続きだったブロンド・レッドヘッド。“MISERY IS A BUTTERFLY”以来となる3年振りの新作は、前作のネオ・ゴシック路線を踏襲か? と思えば、きわめてシンプルな音作りに徹しており、まったく手触りの違う作品になっていた。
通算7作目のアルバム・タイトルは『23』。カズにとって、特別な番号(今まで部屋の番号や電話番号、住所の番号などに共通して「23」が含まれていたそうだ。因みに、このアルバムの規格番号まで「23」が含まれている!)を持ってきた野心作だ。
本作は全体的にダルで、淡々としたギター・リフやリズムを中心とした作品となっている。前作のような大仰なストリングスはないし、前々作のような漆黒の闇もない。ここにあるのは、なべて言うなれば「その現実を認めよ」というメッセージ。そして音。ここ数作の中でもきわめてシャープでシンプルな、トリオならではの持ち味を活かした作品となっている。
試しに、本作を「23時」に聴いてみるといい。その時間は本作と見事に融合し、リスナーは幽玄の世界に引き込まれ、気付けばエンディングまで聴き通していることだろう。1時間弱、揺り籠に揺られているような甘くアンニュイな感覚。それは安らぎの時に用いるとなおのこと効果がある筈だ。
古くからのファンには、本作は過渡期的作品としてとらえられてしまうかも知れない。しかしそれは、ブロンド・レッドヘッドが今まで変化し続けてきたからこそ、与えられる評価ではないだろうか。
傑作とは言わないが、駄作でもない。ブロンド・レッドヘッドを知るための一枚としても薦められないが、決して悪くはない。進化の末に、骨子を重んじた形となったのが本作『23』であるのだろう。今後のライヴ活動で彼らの表現する音色がどう変化していくかが楽しみである。