2100年―この本が出版された年(2011年)のおよそ90年後の世界である。
近未来の暮らしを巡るいくつかのシミュレーションの多くは「2020年か
2030年、遠くても2050年頃までで止まっている」(p. 216)中で、2100年
までを視野に入れ、予想される暮らしの変化を、多くの観点から予測し
た本書は、それだけでも非常に意義深い本といえるだろう。
日本社会において、出生率が低下し、人口減少社会に突入した現在、
耳に入る議論は、悲観的なものが多い印象を受ける。しかし、現状を
悲観してばかりでは、今の日本にとっても、それに晒されている今後
の日本を背負う若者にとっても好ましいことではない。
著者は、そんな考えの下、人口減少がどの程度の割合で今後起こって
いくのか、人口減少が起こった場合の社会構造の変容はいかなるもの
か、その場あの都市と地方の変容について、そして人間関係や家族
構成の変容について、さらには外国人(移民)受け入れに関する問題
についても幅広くまとめている。また、対応策の提案もしている。
著者のスタンスは、現状やこれからの人口変動に関する予測を冷静に
した上で、その現状を踏まえた上で取るべき施策や方向性について示唆
したものになっているため、多くの主張はは建設的である。それは、
「少子・高齢化と人口減少社会の先頭に立つ日本は、…社会的イノベー
ションを率先する役目を背負っているのだ」(p. 211)という言葉からも、
著者の姿勢が端的に表されている。
世界的に見れば、まだまだ人口増加が続いている昨今において、今後
人口減少社会が訪れる日本がとる方向性は、世界が注目していること
であろう。本書は、その現実に目を向け、意識を高めるためにも有用な
本であろう。