懐かしくも美しい20世紀の優れた名曲たちが高橋洋子の歌声に
よって今によみがえる...時には意外な選曲ながら、それでもやはり
彼女だからこそ過去アニソンの数々が、ここまで趣味の良いスタンダード的
面白みによって、しっとりとノスタルジックに聴かせる心地よさを獲得
したのかと、とにかく脱帽。まさに高橋洋子ありき、の本作である。
冒頭2曲のエヴァ楽曲は彼女高橋洋子としての自己紹介的選曲だろう。
何度目かの新アレンジでありながらゴージャスにダイナミックに本アルバムの趣旨に
合わせ、大人っぽく落ち着いた風情で仕上げており、なかなかに聴かせる。
そして、「コブラ」「君をのせて」「愛はブーメラン」「炎のたからもの」...
もしや彼女のために作られた楽曲であったのかと錯覚させられるほど、
伸びやかで声量があり豊かな高橋歌唱にぴったりの選曲ばかりで思わず感得。
間違いなく名盤の域に入る、まさに珠玉の至'80年代ソングスカヴァー集である。
来生たかおの名曲「Goodbye Day」まで織り交ぜ、彼女ならではのナチュラルな
解釈により流れるように繰り広げられる洗練された世界は、まさに絶品。
かの角川映画『幻魔大戦』主題歌「光の天使」に至っては、こう来たかという
新鮮な魅力があり、このシンプルアレンジによって元々の楽曲の美しさを再確認。
それは上記4曲にも勿論当てはまり、何という名曲の宝庫であったのか、という
ことを再度照らし出し思い出させてくれた究極の歌声の奇跡を感じざるを得ない。
子供時代に口ずさんだ懐かしの「キャンティのうた」も今こうして、まさか今、
高橋洋子という逸材を得て、現在によみがえるとは思いもしなかった驚きが。
ラストは「人間の証明のテーマ」で渋く纏め、本アルバムのどこか映画的な
愉しみ方を堪能し尽くした一時間弱。叶うのであれば、第二弾も思わず期待。
それほどまでに高橋洋子のシンガーとしての実力を改めて深く思い知った。