これまでカーウァイ監督の作品を観たことがない人には、ストーリー的に「よくわからん」と評価が下されてしまう作品かもしれない。客観的に観ると。
しかし、カーウァイ監督のファンで、彼の過去の作品に陶酔したことがある人には、とにかく涙物のたまらない「要素」が随所にちりばめられた映画なのである。
トニー演じる主人公は、名前と容姿は「花様年華」のチャウそのままで、「花様年華」の続編的作品であるというのは、早くからわかっていた。
でも、それだけじゃなかったんだ。「欲望の翼」のルル(ミミ)が出てきて、同じ「パーフィディア」という曲が流れた時には、「もう、反則でしょう、これ・・・」って感じで、泣きそうになってしまった。
続編的映画とはいっても「2046」の中のチャウは、「花様年華」の
チャウとは明らかに違うキャラである。
刹那的で、一つの場所(女性)には安住できないその姿は、「欲望の翼」でレスリーが演じたヨディ、延いては「ブエノスアイレス」のウィンの姿を彷彿とさせる。
フェイ・ウォンがトニーの執筆活動を手伝うシーンは、「花様年華」のマギー&トニーに重なるが、同時に「恋する惑星」の中のフェイ&トニー、その後の2人・・・っていうふうにも思えてくる。(飛躍しすぎかな!)
過去の女性を忘れられず、ずっと思い続けている姿は「楽園の瑕」の
西毒の姿ではないか!(これも飛躍しすぎ?)
ラスト、息も詰まるような、コン・リーとの長ーいキスは、「花様年華」のラスト、「木の穴に秘密を埋める」シーンそのものだ。
そういった「要素」を感じるたびに、胸が震え、感傷的な音楽もあいまって、観終わったあとも、何度かため息をついてしまった。
この作品について、よくわからなかった、と思った方は、
是非「欲望の翼」「花様年華」だけでも観たうえで、もう一度
観てください。きっと印象が変わると思います!