孤立や孤独、社会の負担増、などなど高齢社会を語るキーワードは暗いものが多い。本書は「豊かな」「幸せな」「いきいきとした」「サクセスフル」などのポジティブなフレーズとともに、20年後に迫りくる超高齢社会(人口の3分の1を高齢者が占める社会)の課題解決への多様なプランを紹介している。軸となるのは、高齢社会総合研究機構が産学官に地域の力も結集して、取り組む大規模なプロジェクトの展開事例である。明るい長寿社会が夢物語ではなく、熱い志に支えられた多くの活動によって、実現され、継続している、ほんとうの話を読者は知ることができる。ひとつひとつの取り組みは他の地域やグループによっても取り組まれているものかもしれず、限定的な地域の特別な話ではないことが重要である。シチズンシップの精神が根付いた西洋の国々と比較して、日本では持続可能な地域社会が高齢化が急速に進む中で維持できるかを不安に思う人も多い。しかし、日本固有の古きよき、隣近所のあり方は、専門家、ノウハウのある民間企業、スキルと情熱のあるNPOなどの力の結集により新しい形で復興させることができるかもしれないのだ。本書で言及されているプロジェクトの数々が他地域でも形を変えて応用され、展開していくことを想像すると、確かに幸せな未来を信じられる気がしてくる。そんな一冊である。