米国の復活を説く内容である。書かれたのは2008年春、リーマンショック前であり、今の時点から見ると外れたコメントや認識がやや目立つ。しかし今の時点でも著者は基本的な内容に間違いはないと言っていることだろう。
要するに経済グローバル化と規制緩和による経済ダイナミズム(成長力)を長期にわたって実現する上で米国は、欧州や日本より優位に立場にあるというのが一貫した主張だ。私もグローバル化のトレンドは2008年−09年危機後も変わらないと思うが、日本人や欧州人の視点からは米国の優位不変の我田引水的な議論が鼻につく。
それでも、欧州や日本の諸問題についての指摘は的を得ている点も多く、日本としては指摘される課題を克服できなければ、日本の退潮は止められないとと素直に危機感を感じざるを得ない。
中国の台頭は米国にとって確かに「挑戦的な要因」であるが、中国のこれまでの最大の強みは一党独裁の専制政治体制だったが、それは将来大きな弱点に転換するかもしれないとも言う。というのは、社会主義的な国有企業、共有制の下での社会保障、医療保険制度を廃棄してしまったのに、それに代わる現代的な制度ができていないからだ。2015年以降は中国は人口動態面でも成長のマイナス要因が出てくる。それに加え、環境破壊、格差の超拡大、など現政治体制を揺るがすだろうと。まあ、その点は常識的な指摘だろう。