豊富で確かな情報と工夫された構成。デジタル化後のテレビ業界再編を描く書は巷にあふれているが、ここまで業界に精通し、かといって蛸つぼに陥らず、俯瞰して描いているものを私は知らない。
コンパクトな解説と、それに続くディテール解説、という二部構成の方法もユニークで、マスコミ受験対策本としてもおススメ。テレビはあらゆる産業の中で最も保守的で旧態依然としている業界だということを痛烈に批判する一方で、まだまだ映像による表現には可能性があり、テレビは捨てたもんじゃない、という愛情にも満ち溢れている。デジタル化でテレビは死滅する、などという、テレビのことをまるでわからず書きなぐる業界本があふれる中、画面の向こう側のほんとうの真実を視聴者に教えてくれる。難といえば、少々あざとい文章が目立つこと。著者が業界の内側の人間が故の近親憎悪か?