本書は前半が野村総研で行ったアンケート調査から、決済市場の現状と将来を見通し、NFCを中心としたICカードアーキテクチャ、法規制について述べた後、海外の事例、国内の事例を紹介。なぜ普及しないのか、その理由を技術的な課題や法規制的な課題としているようだ。
明快な主張はなく、この本の前書にあたる「2010年の企業通貨 : グーグルゾン時代のポイントエコノミー」と違い、かなり勢いもない。おそらく前書が予想した年を翌年に控え、現状が前書が記した世界とまったく違うということを筆者らが認識しているからではなかろうか。
ビジネスが拡大しない理由を、技術的な課題、法規制の面から指摘しても、実際のビジネスが普及していく基礎的条件が、前書で指摘した条件と直面している現実とであまりに違うからだと思われる。
この本が誰に向けて書かれているのか分からないが、クライアントが気がつかないようなことや、言えないことを指摘し、クライアントのビジネスを活性化させるのがコンサルタント業とするならば、この本は、前書と本書の売上しか気にしないジャーナリズム業、というより文筆家が書いた本ではないか。
しかし、技術的な点、海外でのNFCの実証実験、法規制については簡潔にしかも抜けることなく、全体をよく説明している。タイトルと異なるが、この観点で本を読む方には十分役に立つ本であり、この観点であればまさしくコンサルタント業が書いた本といえる。
2015年が楽しみである。