この著者の本はどうも情報(データ)はかなり多く集められているのだろうと思う。
が、本を読んだが、タイトルにある「投資ブーム」等、肝心の金融や投資に関する情報は極めて少なく、それがメインの本でも、帯にかかれたバフェットについての特別な投資戦略情報の裏エピソードなどが知れるわけでもなかった。
が、日本の価値、良さ・長所をとことん築かせてくれる点では、日本の強みを再認識する上では刺激を与えてくれる。
どうしても違和感を感じてしまうのは、この著者はかなり「好き嫌い」等、感情が極端にハッキリしているようであり、その好き嫌いに基づく一定の視点で情報が分析され、一刀両断されている点である。
これには勿論、面白いという部分もある。が、現実の取引上、これはかなり現実離れした「ある一線を退いた」国内中心の仕事でよい人に自信を与えるが、具体的に彼らと渡り合ってゆこうというビジネスマンの役にはあまり立たないという欠点もある。
世の言論があまりに、自虐史観に自信喪失に偏っている時代においては、その逆張りをゆくこの著者の言論には意味があるだろう。
世界経済を語る著者として、一点違和感を感じるのは、過度な嫌悪感に基づく「キリスト教文明批判」や「嫌欧米論」が、それ自身が誤っているとか悪いというのではなく、あまりに「大ザル」だという点です。
アメリカ国内にもプロテスタントかクリスチャンか、あるいはどういうタイプかによって、同じキリスト教文明にもかなりの差があります。「欧米」と一言で「日本の対極の価値観」として、日本の美点を列挙するコントラストとして、彼らの公共心の低さなどを極端な形で紹介しますが、「欧米」と一言でくくるところに、金融分析上、さすがに違和感を感じてしまったところです。
実際に震災後の部品メーカーとの調達など、海外とやり取りをしましたが、イギリスとドイツメーカーだけでも、商習慣は全く異なります。アメリカでも、地域によって相当違いました。
私は氏のような「自国を信じること」には賛成ですし、三橋氏のような積極財政系のエコノミストも嫌いではありません。
が、今回の本は、そうした実際に海外と取引をしている現場のある一定以上のビジネスマンには、相当、実態と離れた違和感があるように感じられてならないのです。
おそらく著者の海外での実体験、本当の意味での国際感覚がプロフィールで書かれているよりは、国際経験があまりなく、あったとしても、特定エリアや業界等、極めて限定的であるからではないでしょうか。そこに少し限界を感じたところは残念でした。
タイトルから期待するテーマについての情報は、少なかった代わり、日本国内の文化や風土史など思わぬ知識が得られたところは無駄ではありませんでした。しかし、金融や経済に関する知識を読みたいビジネスマンには、かなり不親切なところがあるかもしれません。