中国経済は崩壊するのか?それとも、命脈は尽きず、「不死鳥」か「ゾンビ」のように甦るのか?
正直なところ、この問いに確実な答えを用意することは難しい。1980年代の「改革開放路線」が採用された直後の北京と上海の「闇市(当時中国では『自由市場』と称し、海外からの視察団を招いた)」と90年代後半以降の都市部の一見現代都市的風景、この大きな変化にはただ驚くしかない。著者は、恐らく日本人ジャーナリストとしては最も頻繁に中国各地を歩き、取材し、経済の実態を熟知する一人であろうと思われる。
著者に言わせれば、中国経済の特質は「共産『党』主義経済」であり、資本主義でも市場経済でもなく、国家統制国有企業優先メカニズムだけが機能する経済体制である。まともな金融制度も自由競争もなく、共産党幹部による「官倒」(党・政府・軍による裏経済)と恣意的な国家財産の横流しによってとりあえず破綻していないだけの体制である。
「新幹線事故」とその一連の出来事は、中国が相変わらずまともな国ではないことを天下に周知せしめたが、著者によれば「中国の金融システムはヘドロの海」であり、至る所で「バブル破綻」が見られると同時に、内陸部や旧満州地区(現在の東北地方)では、逆に新たなバブルが始まろうとしているという。また、旧共産圏の統計数字のいい加減さは今更指摘するまでもないが、「真実の中国経済のGDP成長率は、−10%であり、インフレ率は16%にのぼる」という香港中文大学教授の説を紹介して、著者の現場感覚に最も近いと指摘する。また、党幹部による日本だけではなく、アメリカやロンドンでの露骨な不動産買収や海外への預金移転の実態など、具体的に記す。
中国経済の行方はどうなるのか。当分眼が離せないことも確かだ。