内容紹介
「未来志向」と言う大変聞こえのいい言葉の中で、日本と中国の関係をどう捉え、どうやってお互いの本音をぶつけ合い、接点を見出していくかは、なかなか困難な作業です。 日中間では、靖国の問題、領土問題も存在します。また、焼き餃子中毒事件のような食の問題、ひいては中国製品に対する信頼の問題もあります。チベット問題にも関心が集まっています。中国側から見れば、日米同盟に対する疑心暗鬼があるし、過去の日中戦争に関する怨念がまだ消え去ったわけではありません。そういった中で我々がとるべき道は、主張すべきは主張し、問題をうやむやに終わらせることは厳に戒めつつ、一方で、相互理解と交流をいよいよ深め、問題点を一つ一つ根気よく克服していくことでしょう。 前号のまえがきで私は、「最近の人民日報に、思想的・文化的に極めて質の高い文章、党や政府の不正を摘発し社会の不公正を糾す正気溢れる文章、記者たちのジャーナリスト魂がいかんなく発揮されている文章が増えつつあることはあまり知られていません」と書きました。また、「このような変化は、自然破壊や環境汚染、地方政府のやみくもな建設ラッシュ、法治を阻むモラルの崩壊が深刻な現代中国で、メディアが綱紀粛正の切り札になりつつあることと無縁ではありません」とも記しました。この見方は今も変わりませんし、一定の制約は厳然としてあるものの、メディアの監視的役割は益々重視されつつあります。 日本に関する記事を例に挙げましょう。二〇〇七年の日本関係記事に占める日本批判記事の比率は一〇パーセントを下回りました。小泉以後の日本との友好関係構築と言う方針を反映して、文化交流や若者の交流を取り上げた記事が多くなったのは当然といえますが、それだけにとどまることなく、環境問題はもとより、様々な側面で日本の長所に学ぼう、と言う謙虚な記事が急増したことは注目すべきです。また、冷静・客観的な目で日本社会が抱える問題点を分析・検討し、他山の石としよう、と言う記事もいくつか掲載されるようになり、内容的にも質が高く、その観点には我々が学ぶべき点が大いにあります。 今年の北京オリンピックは、中国にとって正念場といえましょう。庶民のオリンピックに掛ける気持ちは、私が高校一年生の時、東京オリンピックに抱いた素朴な気持ちと合い通じるものがあります。その願いが実を結ぶことを祈る一方、政府にとっては、海外からあらゆる面のチェックを受けるわけで、平均台の上を歩むような慎重さと謙虚さが求められ、一歩踏み外せば落下する危険も大いにあります。中国が本当の大国になれるかは、まさにその自制と謙虚さで図られることでしょう。 本書が日中関係の今後を考える上で皆様の足がかりの一つになることを期待しております。 (本書「まえがき」より)
内容(「MARC」データベースより)
誰もが驚く痛烈な告発、真摯な分析、深い含蓄-。「中国の今」を赤裸々に描き出す。2007年の『人民日報』から精選し、15のジャンルに分けて選び抜いた珠玉の60編を収録。