第10巻で、ついにサダキヨが登場する。そして・・・(御自分でお読み下さい)・・・・・この第10巻に、私は、ヒッチコックの『サイコ』を思ひ出させられた。浦沢直樹氏は、ヒッチコックに傾倒して居るそうだが、主人公が孤立し、一見正義の様に振る舞ふ巨大な敵から逃げると言ふ第10巻の展開は、実にヒッチコック的である。(私も、昔、厚生省の職員だった時に、カンナみたいな思ひをした事が有るので、大いに共感した。)この第10巻は、サスペンスに溢れており、又、絵も素晴らしい。ともだちの家の描写など、浦沢直樹氏の造形力の素晴らしさが、余す所無く現れて居る。それにしても、サダキヨたちの元担任である関口先生が、サダキヨに昔の写真を渡す場面には本当に感動した。思はず、涙が出てしまった。(私にも、小学校時代、こんな素晴らしい先生が居た。)関口先生、ありがとうございます。サダキヨに代はって御礼を申し上げます。
(西岡昌紀・内科医/『マルコポーロ』廃刊事件から13年目の日に)