結論から書くと、
「またこのパターンかいな」と思える部分が非常に多い。
たとえば、
「ひとり暮らしで、まあまあの収入があり、友人は作らず、自分でささやかなご飯を作って食べ、音楽を聴いて過ごす……。なんでいつもあえて、そういう孤独な人ばかりなんだろう?」
と、ついつい思ってしまうのだ。
人並みにたくさん友人がいて、人並みに職場の同僚なんかとも関わって、人並みに家族とも普通に交流を持って……それでも孤独をかかえている人間、みたいな物語を、一度でいいので村上春樹で読んでみたいと思う。
人は人と関わって葛藤を乗り越えることで初めて大人になる、なんて説教じみたことは言いたくないけれど、人とほとんどかかわろうとしなくて、なおかつそんな主人公に都合よく理解を示してくれる編集者とか、色っぽい不倫相手なんかが現れるものなのだろうか? 甘いんじゃないか?
十代の頃は春樹作品を好んで読んでいたけれど、私なりに世間に揉まれてアラフォーになった現在では、「この小説では私は成長できないなあ……」と思ってしまう(別に小説に自分の成長を求めるわけではないけれど、それでも)。
それと、つくづく「女性」「若者」を描けない人なんだな、と思った。
若い女性があんな言葉遣いを?
「いまどきの若い女性」と「あばずれ」をイコールだと思ってるんじゃないか?
青豆とあゆみの会話を読んでいると、急に堅苦しい男性風になったり、あばずれになったり……。
特に青豆の、関西から来た薄毛の男性に対するものの言い方は何なんだろう。
若い女性がすべてあんなものの言い方をして、あんな行動をとるものだと、まさか春樹氏は信じていないだろう(と思いたい)が、小説家としてこれからも書いて行きたいのなら、一度しっかりと今の日本の人々に向き合った方がいい。 それも特殊な人々ではなく、市井の人々に。
それと、(特に日本の)女性の大多数は性行為というものをあんなに渇望していない。 そんなものがなくても淡々と楽しく生きていける女性の方が圧倒的に多いのだ。 どうもそのあたり思い違いしているみたいだ。 読んでいて不快感を覚える女性も多いのではないか。こちらも一度でいいから、そういうものとは無縁にしなやかにたくましく生きている女性の物語を、村上春樹で読んでみたい。……べつに村上春樹でなくてもいいか。
いろいろ不満を述べてしまったが、小説としては(少なくともBOOK1は)ハラハラドキドキしながら読めるような要素もあるので、★3つ。