リマスタリングされたことにより、全体の音の世界に奥ゆきが出ています。ライブ盤だけに、ずっと聴き続けてきた十年以上前のものと比べると、なんだか新鮮な感じ。
内容は、彼らのリリースしたアルバム中、問題作と物議をかもした「DRUG TREATMENT」の中から中心にした選曲なので、ポップな世界観を望む人にはちょっとびっくりしてしまったかもしれないけど、当時の黒夢はポップなシングル曲をテレビに出て歌うことを徐々に嫌い始めていて、こういう風な激しい楽曲を大会場でないライブハウスで観客と密に向き合って歌う活動が主体にしてましたね。
一曲目の「FAKE STAR」でいきなり衝撃を受けます。数々のライブにより満身創痍の体から振り絞られる声は、若干枯れ気味ながらもソリッドなカッコ良さを醸し出してて、以降の曲もライブならではのアレンジを持ってパフォーマンスを展開します。「NEEDLESS」は隠れた名曲で、音楽シーンに対する黒夢の葛藤から生まれた、「Like @ Angel」や「少年」と肩を並べる秀作なのですが、ライブで聴くと本当に清春さんの歌詞の直向さが伝わってくるよう。「S・A・D」は黒夢初期の曲をライブ用に更に研ぎ澄ましたような感じで、サビ部分に加えられた「oi」というパンク特有のシャウトがカッコいいです。「BARTER」もオリジナルのサウンドから余計なものが取り除かれて剥き出しになったようで、聴いてて独特な臨場感があります。極めつけは「カマキリ」で、こちらもライブを意識されたアレンジバージョンが先にリリースされた「Spray」のカップリングに収録されているのですが、そちらよりも更に直接的なインパクトがあります。レコード会社であるEMIに対する反感の意を呈した「EASY MONEY ISLAND MESSAGE」という歌詞が、後半に到っては「E M I MESSAGE」と略した言葉をシャウトして、もう怖いものなしの攻撃性に満ち溢れてます。有名アーティストながら、こういう嘘のないパフォーマンスを展開する思い切りの良さこそ、まさに当時の黒夢が多くのリスナーを惹き付けた所以なのでは。「SICK」演奏時には会場全体がヒートアップしすぎたためか、停電のハプニングも。これを収録していることで、より会場の雰囲気が味わえます。
ライブCD特有の生々しさを存在させながらも、手抜きなし、妥協なしの完成度を誇ってます。これを買って聴いた人に、確実に何かを残す内容となってると思います。ぜひ体感してもらいたいですね。