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1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)
 
 

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) [新書]

竹森 俊平
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

アジア通貨危機が地球を駆けめぐり、日本では山一証券など大手金融機関がバタバタと倒れた「1997年」。気鋭の国際経済学者がこの年に着目したのは、97年をきっかけに世界の資本の流れが一変したからだ。未曽有の金融危機は、なぜ起きたのか。過度の悲観主義が世界を覆った時、人間心理はどう動くのか。息詰まる「経済ドラマ」を注目の経済理論「ナイトの不確実性」を駆使して分析、失敗の原因を検証する。

内容(「BOOK」データベースより)

アジア通貨危機が世界を襲い、日本の大手金融機関がバタバタと倒れた1997年。金融危機が深化したこの年を境に、世界のマネーの流れが大きく変わった。「不確実性」に支配された市場を、どうコントロールするか―。1997年の動きを検証し、次なる「危機」への処方箋を探る。

登録情報

  • 新書: 248ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2007/10/12)
  • ISBN-10: 4022731745
  • ISBN-13: 978-4022731746
  • 発売日: 2007/10/12
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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41 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書のテーマを簡潔に言えば、世界と日本の金融政策における「不確実性への挑戦」を通じて、「1990年代以降の激動する世界を理解する」ことだろう。 

サブプライム問題の真っ只中にいる現在、非常にタイムリーな内容で、サブプライム問題に至る国際経済の流れが、連続的にかつわかりやすく理解できる。 また、世界の政策担当者がその対策の論拠とする最新の理論もわかりやすく、かつ十分に説明され、 新書とはいえ、恐らく国内今年度下半期の最も優れた経済書の一つになるのではないだろうか。

本書の流れは、97年のタイの土地バブル崩壊を端緒として、フィリピン、インドネシア、韓国へ拡大し、ロシアのデフォルト、そしてLTCM破綻に至ったアジア通貨危機と、住専問題に端を発し、三洋、拓銀、山一から、日債銀と長銀の破綻に至った日本の金融連鎖危機への政策担当者による対応の解説を軸に進行する。

その過程では、「流動性問題」であったアジア危機を「構造問題」としてとらえたIMFの失策や、その遠因がメキシコ危機へのルービン財務長官の対応にあったこと、また、日本の金融連鎖危機への対処においても、住専処理に対する批判が、危機対応の足枷となり、その住専問題の背後には農林中金と農協の責任回避の思惑があったこと等が解説されてゆく。

最新の経済理論については、「バジョット・ルール」や「ナイトの不確実性」、「質への逃避」、「フリーライド」といったキーワードを巧みに使い、興味深いエピソードや、ケインズ、ハイエクといった古典理論も挿入しながら解説され、全く飽きさせることがない。

「ナイトの不確実性」とは、既知であるが故にその確率分布を想定できる「リスク」とは異なり、未経験の領域において、確率分布を想定できない不確実性を言う。 イノベーションが重要性を増す現代は、必然的に「ナイトの不確実性」が増す時代であり、その不確実性に対する「過度の楽観」がバブルを生み、「過度の悲観」が金融危機を生むことになるという。

金融危機への対応策についても、(1)グリーンスパンに見られる攻撃的なまでに迅速な金融緩和策、(2)公的資金の注入ではなく、ベイルインと呼ばれる債権者間の迅速な調整による収拾等、最新の動向がわかりやすく解説される。

上記のような金融危機への対応の歴史と理論を解説すると共に、本書のタイトル通り、通貨危機に懲りたアジア各国が、IMFや世銀が勧告した変動相場制への移行に従わず、巨額の外貨蓄積とドルと連動した管理相場性を採用することで、世界の半分を覆うドル経済圏を形成し、結果として米国の消費拡大を通じた未曾有の世界好景気を発生させ、サブプライム危機を生む一因となった等、現代世界経済の事象をわかりやすく、総合的に理解させてくれる手腕もすばらしいと思う。 特に、危機の中、ポジションを取られている個人投資家の方には強くお勧めいたします。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
フランク・ナイトのリスク・不確実性の区別を軸に政治過程に踏み込み、サブプライム等過去の金融危機の原因を分析した好著。
只、「経営者は不確実性の領域に踏み込むことによって利潤を得る」という著者の説明には腑が落ちません。多くの経営者が「勝算がある(ライト流の「リスク」をとる)」と判断した際に利用した「確率分布」が、他者のそれとは違うから利潤を得るのであり、他者がその確率分布を真似ることで利潤は減少するのではないかと感じます。そして、その確率を算出した経済の構造が変化することに気付かず、同じ確率分布のまま行動し続ける結果、予想を超える(不確実な)事態に遭遇し最悪の場合、倒産することになるのではないかと思います。
そして、サブプライム問題は、
・リスクを分解し合成出来るという考え方は限定的にしか成立しないこと
・格付は過去の実績に基づくもので、未来を平均的に説明するだけということ
を「忘れ去り」、格付を妄信するという、一種思考停止状態に陥った結果起きたのではないかと思います。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By recluse VINE™ メンバー
形式:新書
というのは、見事な理論的な整理が今年の夏と1997年の金融危機についてなされているからです。今年の夏の混乱は不思議な混乱でした。それは日本が過去に経験した金融システムの危機の事象が日本の外で起きている中で、すべてが日本で起きたことをもう一度目にしているだけではないかという不思議な既知観でした。不良債権の飛ばし、金融テクノロジーの”創造的”な利用、銀行間市場の崩壊、銀行規制の失敗、とどまることのないグリードとそれを支える不思議なまでの楽観主義、そして英国での取り付け騒ぎと、どれも日本というシステム内でおきたことが今度は日本の外で、もう一段大きな規模で繰り広げられて、それに市場参加者が右往左往する姿をみるのは、皮肉な喜びを伴うものでもありました。この作品はこの1997年と2007年の危機を比較することにより、その両者の関係をナイトの不確実性というキーワードを元に分析したものです。第一章の、アジア危機を読み違えたアメリカの部分は、流動性とソルヴェンシーという概念をベースとして見事な分析を提示しています。もっともこの作品の一番の売りは、第二章の”危機を読み解く”部分です。この章は決してわかりやすくはない”ナイト”の不確実性は初心者にもわかりやすく分析されています。決して技術論に流れることなく、ナイトの不確実性の理論が持つ深い哲学的な意味合いを含めて詳細に解き明かされます。ただおそらく本書の大部分の脱稿は今夏の危機の前に脱稿されていたようで、今回の危機の取り扱いは部分的で限定的なものです。
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