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1968年 (ちくま新書)
 
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1968年 (ちくま新書) [新書]

スガ 秀実
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

先進国に同時多発的に起こった多様な社会運動は、日本社会を混乱の渦に巻き込んだ。その結果生まれたウーマン・リブ(→フェミニズム→男女共同参画)、核家族化(=儒教道徳の残滓の一掃)、若者のモラトリアム化(→「自分さがし」という迷路)、地方の喪失(=郊外の出現)、市民の誕生と崩壊、「在日」との遭遇などの現象は相互に関連しながら、現代社会の大きな流れを形作っている。前史としての“60年安保”から、ベ平連や全共闘運動を経て三島事件と連合赤軍事件に終わるまでの“激しい時代”を、新たに発掘した事実を交えて描く現代史の試み。

内容(「MARC」データベースより)

前史としての「60年安保」から、ベ平連や全共闘運動を経て三島事件と連合赤軍事件に終わるまでの「激しい時代」を、新たに発掘した事実を交えて描く現代史の試み。

登録情報

  • 新書: 302ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2006/10)
  • ISBN-10: 4480063234
  • ISBN-13: 978-4480063236
  • 発売日: 2006/10
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
左翼の歴史というのは、安東仁兵衛の「私的 日本共産党秘史」のような左翼ボキャブラリーで書かれたものや森田実の「戦後左翼の秘密」のような1960年安保より前の転向者の著作があるが、この本のすが秀実のように、1970年当時20歳前後という世代の著作で一般人にもわかる語彙で書いている本は珍しい。新書ということもあり、一気に読んだ。

この本が扱っているのは全世界的に学生運動が盛り上がった68年だけではない。それ以前の60年安保、それより前の共産党の武装活動時代なども扱っている。それゆえに、戦後の左翼活動の歴史を読む上ではほぼ過不足がない網羅的な本である。

おもしろいのは新左翼トロツキストの人物として現在は陰謀論の本を出している太田龍のことを扱っていること。この太田竜の「偽史」やユダヤ陰謀論への傾斜のきっかけが1970年の7月にあった「7・7青華闘告発」という在日中国人=マイノリティに対する差別発言問題に端を発した、日本の左翼の日本のマイノリティに対する関心に由来すると指摘している部分は非常に個人的に納得のいくものだった。太田竜は、マイノリティを研究していくうちに、天皇制の歴史観が虚偽に満ちたものであると見いだし、そこに欧米国際金融資本との結託の事実を見たのだろう。だから太田龍の著作の日本柱が八切止夫のような独自流の日本史とそれと表裏をなす、ユダヤ・フリーメーソン・宇宙人を中心におく陰謀的歴史観なのである。

この太田竜の記述に関連して、三島由紀夫が自らUFO研究会に関わっていたという指摘がされている。戦前の大本教に対する関心は左翼・右翼に共通するものがあり、偽史への関心というのが、主流派言論人として活躍できるかどうかのメルクマールになっていたと言うことが分かる。(この点で吉本隆明は巧妙だったといえる)

一方の左翼トロツキストたちは、過激派になって自滅していくわけだが、大島渚が「日本の夜と霧」で描いたように、一番賢かったのは「安保自動承認」を受けてアメリカナイズされていった若者たちだろう。その時期に左翼の運動から足を洗わなかった人々は冷や飯を人生で食うことになったわけだから。

その上で言えば、左翼運動がやがてサブカルに回収されていくわけだが、ここまで来ると、日本のムーブメントは若者消費文化に主体が移っていく。その点でこの本を読んだ上で、堀井憲一郎の『若者殺しの時代』を読むと、戦後の日本の文化のあらましが全部見通せると思う。すが秀実は「一九六八年は大学が若者の就職安定所であることをやめた」と本書で書いており、その後大学は若者消費文化の象徴になったと卓見を示している。ここが堀井の新書のテーマにつながっていく結節点である。
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形式:新書
文芸評論家のすが秀実には、私は一貫して敬意をもっている。専門家ですら「文学=小説」と思い込んでいる中、彼は詩の問題等も理解している数少ない一人だ。
近年の彼は、所謂「68年革命」の問題を論じている。本書は、これまでの概説と新たな論点を合わせたもの。ベ平連、山口健二、華青闘告発、偽史等が取り上げられている。
無論、多くの勉強になる点、興味深い論点がある。ただ、既に指摘もあるが、すがの68年論は、やはり一部わかりにくい。
かつての彼の主張は、68年とは「情動」ではなく「フォルマリズム」の革命だったというものだ。これは、詩や文学に関心のある人間にはわかる。
しかし、その後の彼は、68年革命全体を主題としていく。すると、別の問題が出てくる。
すがは、社民主義やリベラリズムの限界を指摘する。しかし、では68年以降は、という点は理解しにくい。
あるいは、68年革命は、そもそも多様・多面的・多方向的主題という事か。しかし、悪化する一方と見える社会状況の中、何らかの理論と実践を求める気持ちはやはり否定できない。
私はアイロニーやシニシズムに関心があり、結論部分は興味深い。ただ、著者も、間違いなく実践をも求めていよう。現今の社会には、何か簡明な理論と実践が必要ではないか。あるいは、それこそが短絡だという事か。
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By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:新書
 本書について最低限評価すべきなのは、ベ平連の運動にソ連の存在が果たした役割を指摘し、小熊『<民主>と<愛国>』その他の抽象性を明らかにした点。鶴見や小田は神輿で、実体的にはレーニン流の「帝国主義戦争を内乱へ!」戦略の一環と考えられる。ベ平連とイラク反戦の対比は、市民運動の現在を考える上で重要。

 68年が象徴する転回以降の「偽史」的想像力に着目し、吉本隆明『共同幻想論』をもその潮流に置いた上で、それを「歴史から虚構への転向」と論じる議論も、その後のサブカル系左翼族生との関係で興味深い。また、吉本の中野重治「村の家」評価を批判し、これを天皇制と宮本顕治的な非転向への従属と読む件りも刺激的。さらに「新左翼創成や60年安保を思想的にリードした黒田(革マル)と吉本(ブント叛旗派)」が華青闘告発に応接できなかった点で、両者は68年的たり得なかったという評価(p277)も、図式として発見的。

 「内ゲバや爆弾闘争におけるシニカルな暴力革命主義は、80年代以降に全面開花した『アイロニズム』や『シニシズム』の、のりこえ不可能なリミット」(p288)という論定については、評価は分かれようが、私には説得的だった。

 問題は、こうして示された袋小路状況における「希望」の所在。著者は「我々は既に革命を実現できる跳躍力を有していながら、眼下の谷に足が竦んで跳べないだけ」と示唆しつつ、安易に「跳ぶ」ことを諌め、「今できることは、(中略)われわれは谷を跳びうる潜勢力があると言い続けうるための、その力を養うこと(だけ)だろう」(p298)と苦く結語する(私などは、ここで立岩真也を想起した)。

 しかしそれにしても、谷を超えた彼岸に何が待っているのだろうか?
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