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ドメスティック・バイオレンス、いじめ、貧困、そして非行。幼い少年にとって確かに過酷な環境ではあった。満たされない思いを宗教で埋めようとしたが、父親に厳しく妨害されたとある。父親を憎悪し、離婚後自分と弟のために必死で働いた母親に対しても、自分勝手で世間体ばかり気にする口うるさい偽善者と言い放っている。一方で、少年はロックに傾倒し、日常的にドラッグを使用し、暴力とセックスにおぼれていく。それがロックというものだ、と言わんばかりに。
著者、祝康成は少年の心の闇を知ろうと面会を重ね、本を差し入れ、手紙を交わす。少年の身辺も丹念に調査している。たとえば少年が事件前に結婚していたフィリピン人女性を探して現地まで赴いている。しかし、その著者でさえ「いったい、お前は、あいつの何を知りたいのだ?」という徒労感に襲われている。
いくつかの疑問が残る。光彦がこの事件に行き着くまでに、逮捕されるチャンスが何度かあったのではないかということだ。だが著者はそのことには触れていない。
本書は幸せだった被害者の家族と、現代の不幸を凝縮したような加害者の家族を対比させながら、事件を社会的にとらえている。(高津紀代子)
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