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冷たい愛のない家庭に育った若者は不幸である」といったところか。
いかにも「反権力は絶対善」を標榜する朝日文庫(朝日新聞)の
好みそうなルポライターであり、そんな彼の論調である。
たしかに、両親が家にいる家庭に育ち、周囲の愛情に恵まれ、
他者との交流の機会も十分にあり、経済的にも強烈な不自由はせずに
育つことができた私(そしておそらくこれが大多数の普通の日本人)
には、彼らの生い立ちは想像しがたい悪い生育環境であり、
その点では同情の余地はある。
しかし、それは論点のすり替えにすぎない。「社会」は強姦や拉致や殺人や
死体遺棄などしない。日本中を震撼させた戦慄の凶悪犯罪をしでかしたのは、
ほかの誰でもない彼らなのである。
その証拠に、片親の家庭に育っても、スパルタ教育の学校に通っても、
誰にも迷惑をかけずに真面目に働き、社会に貢献している人はたくさんいる。
犯人の視点から事件を描いたという点で、本書は斬新なのかもしれないが、
著者の論調には被害者の心情への想像力が欠けているように感じられる。
前途有望で夢もあった女子高生が、ある日突然、半人半獣の少年に襲われ、
人間としての尊厳をまったく無視され、最後にはまるで産廃のように遺棄された。
その無念さを思うと、犯人どもへの共感など露ほども湧いてこない。
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