100ページにもみたない薄い本ですが、内容は濃いです。
荒川静香さんが金メダルを獲った頃にも、ルポタージュは出ていましたが、テレビのドキュメント番組で繰り返し放送している内容を、そのまま本にしただけでした。採点の基準が変わってからの奮闘ぶりなどにスポットを当てていて、それ以前の記録についてはさらっと触れてある程度で。
幼少の頃からの、フィギュアへの気持や姿勢を読みたいと思ったものです。本書は、まさに知りたかった面がふんだんに語られていました。しかも、思っていたのとは違う荒川さんの姿がありました。オリンピックで金を獲ることに対する明確なビュジョンはについては、意外なものでした。
本書は、荒川静香伝として楽しめるだけでなく、自己啓発要素もあって真のポジティブ思考が身に付きます。日本は、今はフィギュアスケート大国といわれるようになりましたが、以前は、「日本人は外国の選手に比べて駄目。無理」とされていました。伊藤みどりさんが、活路を切り開いたとはいえ。フィギュアに限らず、前例がないから、年齢、その他もろもろをあげて、最初から諦めてしまったり、他の人にも諦めろと決め付けるケースは、いたるところで見かけるので、考えさせられ、「無駄」「無理」の連呼をする方が人間の可能性をついばむのだと、発想の転換が起こります。
コーチである立場の人からのアドバイスを、自分自身でどこまで受け入れるか、時には自分で考え決断し実行する大切さも学ばされます。思っていた荒川静香像と違っていて、今だから語るのを許されたんだろうか。
他にも、興味深い考えがふんだんに盛り込まれていています。
「美しさ」とは何か。
「表現」とは何か。
「人に伝える」とは何か。
オリンピックほどの大舞台とまでいかなくても、受験を控えている人や、もっと小さい何かにチャレンジしている場合でも、痛快に読めます。小中学生向きに書かれていますが、荒川静香ファンはいうまでもなく、大人にもお勧めです。