本書のタイトルは「15のわけあり小説」ですが、正直なところ伝わりにくいタイトルです。
「少しひねったオチの短編集」と言えば分かりやすいでしょうか。
読み進めると、どこかで聞いたようなストーリーに出くわします。
それもそのはず、本書は実話をベースにした作品が大半ということで、ニュースやバラエティ番組、映画などで既に目にしていたのかもしれません。
本書は評価が難しいところがあります。
例えて言うなら「喉越しはいいけど、深い味わいとコクに欠ける」という感じです。
巨匠アーチャーならではの完成度の高さは認めるものの、読み応えという点で満足するのは難しいでしょう。
イギリスでは熱心なファンほど「がっかり」という評価をくだす傾向があるようです。
しかし一方でスイスイと読み進める心地良さがあることも確かです。
私自身が原文にあたっている訳ではないので断定はできませんが、こなれていない日本語訳が散見されました。
客を迎えた店主の言葉が「お手伝いいたしますか」はないだろうと思います。
少々物足りない部分はあるものの、エンターテイメント作品としては合格点の作品です。
長距離移動のお供にはもってこいと言えるでしょう。