日本の公開天文台のリーダー的存在でもある「西はりま天文台」の研究員、鳴沢さんのこれまでの半生と、現在取り組んでおられるOSETI〜光学的地球外知的生命探査についての熱い思いが語られている。天文少年少女たちにもストレートに伝わるよう、よく配慮された平明な文章。そしてお人柄を表す伸びやかで真っ直ぐな感性。あっという間に読み上げ、そしてさわやかな読後感が残った。
とはいえ現実には、この本には書かれていないさまざまなご苦労があるのだろうとも思う。それをこの本に敢えて持ち込んでいないのは、これを読む人にそれを見せたくなかったり、いいところだけを強調したいからではなく、この本を読んで、天文の世界や研究の世界に足を踏み入れてくれる人達に、最も大切なものをはっきりと示しておくためだと思う。
天文に限らず、自分の「本当の夢」をこれと決めて歩き始めた人にとっては、たとえ行く手の現実にどんな苦労が待ち受けていても、それはニ次的なものでしかない。その人を引っ張っていく本当に大切なものは結局、この本に描かれているような、心の中心にある熱くて、純粋で、子供っぽい単純な思いだけなのだ。…レベルはちがっていても、同じような仕事に携わる者として、私にはその思いがよくわかるし、それを伝えることの大切さをいつも痛感している。
そういう子供っぽさを持ち続けるのには勇気がいる。しかし、どんな道を歩むにしろ、自分の人生を生きるにはそれが必要なのだ。そしてその勇気は、子供たちだけではなく、全ての大人たちにも求められている。なんと言われようが、あの熱くて、純粋で、子供っぽい単純な思いは、さまざまな場所でさまざまな形を借りながら、繰り返し繰り返し語られ続けられねばならないと思う。