尾崎豊というミュージシャンは、「手を抜いた曲」を作ることを、一切しなかった人である。安易にコンピレイションも出さなかったし、3曲の例外を除いてシングル・カットは全てアルバムと同一だった。あれだけの名曲を残し、社会に影響を与えたにも関わらず、オリジナル曲はたった71曲しかない。つまり、本当はベスト・アルバムなど出す必要はないのだ。没後、乱発されるベスト盤や、レア・トラック切り売り目的の限定盤を、彼は決して快くは思っていないだろう。
それを踏まえた上で、このベスト盤の聴き所は?というと、ズバリ、[1]十七歳の地図(Single Version) だろう。復刻されている 「卒業/Scrambling Rock'n'Roll(12")」 と違い、シングル「十七歳の地図」 は入手不能。このベスト盤を買う中で、かなりの人がこのトラック目当てだろうと思われる。
Sonyのベストなので、EastWest時代の曲は勿論無いし、選曲も、全曲選りすぐりとは言えないが、ある程度代表曲は収録されている。家出をテーマにした代表曲「15の夜」、尾崎のパーソナリティが良く反映されたと言われる「シェリー」、校舎のガラスを割るくだりが物議を醸したものの十代の真実を描いた曲として高く評価される「卒業」、数々のアーティストにカバーされ最も有名な「I LOVE YOU」など。
しかし、尾崎豊の曲を聴けば聴くほど、オリジナル・アルバム6作を真剣に聴いて欲しい、と思うようになるのだ。これで尾崎を知ったなら、是非、その先へ進んでみることをお奨めする。決して失望はさせないと保証しよう!!